(1)試験の概要について
システムアナリスト試験は、俗に「秋の情報処理技術者試験」と言われており、毎年10月第3日曜日に全国主要都市で行われます。
試験の概要は次のとおりです。
○午前問題 択一マークシート方式 全55問 全問解答 制限時間100分
○午後I問題 記述式 全4問から3問を選んで解答 制限時間90分
○午後II問題 記述式(小論文) 全3問から1問を選んで記述 制限時間120分
休憩時間を含めると、朝9時過ぎから夕方4時過ぎまでのほぼ1日に及びますので、学力と並んで体力・精神力ともに万全の体制で臨む必要があります。
以下に、各試験問題ごとの出題概要と採点要領について説明します。
午前問題は、プロジェクトマネージャ、アプリケーションエンジニアと共通の問題が使用されます。出題範囲は、コンピュータテクノロジー、システム開発手法、経営管理論、法規など、極めて幅広い分野に及びます。さらに採点が単純正答率方式ではなく、項目応答理論(注)によって行われるため、いわゆるヤマカン、まぐれ、鉛筆転がしなど、昔ながらの試験対策は限りなく排除されています。全分野について確実に理解していなければなりません。
午前問題は、いわゆる足切り試験のため、採点結果が600点に満たない場合は、午後の試験は採点されません。
このような極めて広範に亘る出題範囲を一から勉強するには、非常に長期間の学習を要します。しかし、一方で過去の出題問題の使い回しが多いのも実態で、おおむね過去5年の出題問題の中から、少し内容を変えただけの問題、あるいは全く同じ内容同じ正解の問題が出されることが多く、受験にあたってはまず過去問題の徹底研究が不可欠です。
(注)項目応答理論については、下記のURLのサイトをご覧ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%85%E7%9B%AE%E5%BF%9C%E7%AD%94%E7%90%86%E8%AB%96
午後1問題は、様々な業界の事例に基づく大設問が提示され、そこで提示された問題点とその解決方法に関する小設問が3~4題出題されます。受験者は規定文字数(40字以内など)で解答する形式の試験です。いわゆる問題発見とその解決を行う技量が試される問題です。
午後1問題の最大の悩みどころは「じっくり問題を読めば正解できるが、じっくり読んでいる時間がない」ということです。ひとつの商談案件に相当するような密度の濃い長文の大設問を読み解き、ただちに問題点を発見し、設問に答えなければならないからです。
大設問をじっくり読み返している時間はありませんし、ましてやじっくり考える時間もありません。各小設問の正解は、大設問の中に既に書かれている場合もあれば、大設問の行間を読んで解答しなければならない場合もあります。
「まるで競馬レースだ」と受験者が愚痴をこぼすことも多い、文章読解力とスピードが要求される試験です。
午前問題と同じく足切り試験のため、全3問での総得点が600点未満の場合は、午後II問題の採点がされません。この試験の攻略は、過去問題の研究と併せて、「様々な業界の事情に精通していること」がカギとなります。
午後II問題は、論文試験です。システムアナリスト試験に合格するか否かは、この論文試験でA~Eの五段階評価でAクラスをとれるかどうかにかかっています。論文に係る設問は、通常3つ(「設問ア」「設問イ」「設問ウ」)となっており、設問アで受験者の経験した事例概要を論述し、設問イ、ウでその事例の詳細(どのように問題点を発見し、どのような点に工夫をしたかなど)を論述するようになっています。
設問アは800字以内で、設問イとウで1600字以上3200文字以内で書くこととされていますが、実際には設問イとウで2400文字以上書かなければ合格しないと言われております。
120分で3000文字以上を書くのは、かなりのスピードで記述しなければなりませんし、かつ、字がへたくそだと減点の対象になります。受験者は受験勉強中の練習論文をワープロで書く場合が多いですが、模擬試験などを通して手書きの訓練をしておく必要があります。