午後I問題攻略法

(3)午後I問題制覇法

午前問題の勉強と併行して、午後I問題対策を進めておくべきです。午前問題だけ毎日勉強していても飽きが来ますし、嫌気がさしてくる場合もありますから、頭の切り替えも兼ねて午後I対策をとっておいたほうがよいのです。

午前問題対策が、知識力を深めるのに主眼が置かれるのに対して、午後1問題対策は、文章読解能力と思考推論能力が要求されます。本試験では1題につき2000文字程度の大設問を10分程度で読み解き、10分で正解を導き出し、10分で解答するという流れになります。1題30分で解かねばなりません。しかも正解は既に分かっていても規定文字数以内に収めて解答する推敲も必要ですから、まさしく「競馬レース」の名にふさわしいスピード勝負です。

これも同じく過去問題を使って勉強することになりますが、最初のうちは時間にとらわれなくてもよいです。大設問を何度でも読み返し、確実に正解が導けるように自己訓練を積み上げていくことになります。ここで大設問と小設問の例を挙げておきます。本当は実際の過去問題を紹介すればよいのでしょうが、著作権の問題等ありますので、筆者オリジナルの問題の要約版という形で書かせて頂きます。

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問1 文具卸売業と印刷業の会社統合に関して設問1~3に答えよ

(大設問 要約版)
A社は、地方自治体や外郭団体を顧客とするオフィス用品卸売り業者である。との取引実績はこのたび霞ヶ関中央省庁を主な顧客とする印刷業者B社を吸収合併し、印刷請負もできるオフィスパートナーとして更なる経営拡大を行い、特に霞ヶ関中央省庁や出先機関への販路拡大を図ろうとするものである。また合併によってバックオフィス系共通役務の合理化を図り、人件費抑制と事務能率向上を図る予定である。

A社は、埼玉県に本社を持ち、関東4県にそれぞれ、東京営業所、神奈川営業所、千葉営業所、埼玉営業所(本社社屋と共通)を持っている。B社は都内千代田区に本社と印刷工場を持ち、霞ヶ関中央省庁からの印刷要求に24時間対応できる体勢をとっている。

A社はパソコン販売も行っていることから、ITの活用については進んでいるが、B社は電子入稿に対処できるシステムを備えているだけで、バックオフィス系のIT活用は進んでいない。
今後A社の営業マンは、印刷請負の商談も引き受けることになり、元B社の営業マンはオフィス用品の引き合い案件も取り扱うことになるが、今のところ、元B社営業マンがオフィス用品の引き合いを受けたときには、メモをしてA社の営業マンに引継ぎ、A社の営業マンも印刷案件の受注があったときは元B社の営業マンに引き継ぐだけであり、結局もう一度それぞれの専門営業マンが商談に赴き、再度聞き取りをするので、非常に営業の効率が悪い状況である。
(以下、略)

設問1 合併に当たってA社及びB社が行うべき措置は何か。2つ挙げ、それぞれ40字以内で答えよ

設問2 B社の吸収合併によってA社が受けるメリットは何か。40字以内で答えよ

設問3 営業マンがスムースに営業活動を行うために必要な措置を40字以内で答えよ
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まずは、大設問をじっくり読んで、特に重要と思われる箇所に片っ端からアンダーラインとコメントを付していきます。この大設問で重要と思われる箇所は①【B社のIT活用が進んでいない】②【特に霞ヶ関中央省庁や出先機関への販路拡大】③【非常に営業の効率が悪い】の、この3つだと思われます。コメントしては、「A社のIT基盤を活用すべき」「営業マンの教育が不十分」などでしょう。

では、実際に問題を解いてみましょう。

設問1では、合併に当たって会社が行うべき措置が問われています。常識で考えれば、組織改編、システム統合、共通役務の集約などが挙げられます。B社ではIT導入が進んでいないのですから、A社のIT基盤を活用すべきです。またバックオフィス系の業務の集約と人員整理が必要です。

正解としては【A社のIT基盤をB社に導入し、同時に印刷業に対応したシステム改良を行う】【バックオフィス系事務要員を1カ所に集約し人員整理を行う】というところです。設問1のパターンは「大設問に既にヒントが書かれている例」でした。ここで文字数に着目して頂きたいのですが、40文字以内とされていたら、おおむね35文字程度は書くのが暗黙の了解です。文字数が短いとたとえ正解であっても減点の対象になるようです。


設問2では、A社が受けるメリットが問われています。A社はこれまで地方自治体や外郭団体が主な顧客で国の機関への参入が立ち後れていましたから、すでに霞ヶ関御用達になっているB社を合併することによって、国の機関への参入が可能となるでしょう。そこで正解は【霞ヶ関中央省庁やその出先機関など、国の機関への販路拡大が図れること】でしょう。このパターンは「大設問中に既に正解が書かれている例」でした。

間違った答えとしては【首都圏機能移転に伴いさいたま副都心への営業強化が期待できる】などという答えです。一般論としては間違いとは言えないのですが、ここでは一般論を訊かれているのではなく、設問から導出できる回答が求められているからです。

設問3では、元々A社の営業マンと元B社の営業マンが、お互いの守備範囲以外は無関心という状況を打破する方策が問われています。これは営業マンそのものの意識改革が必要なので、正解としては【印刷業務に関する研修と一般文具知識に関する研修を実施し互いに受講させる】というところでしょうか。これは直接大設問には書かれていないので、推論的解答になります。


午後I問題、そして午後II問題の解答については、「聞かれたことのみ答え、聞かれていないことは一切答えない」という、軍隊の内務班的精神が要求されます。さらに模範解答はあるものの、別解もあったりして、結局のところ採点者の判断によるところが大きいのです。的確な解答のためには、出題者の意図をくみとることと、解答のパターン(大設問に正解が既に書かれているか、ヒントとなるキーワードはあるか、推論によるべきか)を判断する能力を養う必要があります。

市販の問題集には模範解答しか載っていませんので、実際に何点取れるかは判断できません。午後問題の制覇には模擬試験の受験を強く推奨します。



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