職責とステイタス

(1)システムアナリストの職責とステイタスについて

このサイトをご覧いただいている皆様には、既にご承知の方も多いと思いますが、システムアナリストの職責とステイタスについて説明したいと思います。

経済産業省が実施する、いわゆる高度情報処理技術者試験には、「システム監査技術者」「プロジェクトマネージャー」「アプリケーションエンジニア」そして「システムアナリスト」の4つがあります。(テクニカルエンジニアを除く)それぞれどのように違うのか?おおむね次のようになるでしょう。

○アプリケーションエンジニア(略称AE)

アプリケーションの開発に関する一連の流れを統括する、いわゆる前線将校であり、プロジェクトマネージャの部下に相当します。

○プロジェクトマネージャ(略称PM)

プロジェクトメンバーの意見を統括し、プロジェクトの計画と実行に責任を持つ、大隊指揮官であり、アプリケーションエンジニアの上司、システムアナリストの部下に相当します。

○システムアナリスト(略称AN)

経営戦略に基づく情報戦略を立案し、個別プロジェクトを支援する作戦参謀であり、プロジェクトマネージャの上司に相当します。

○システム監査技術者(略称AU)

システム開発・運用・保守部門から独立した立場でシステムの経営貢献度合を監査するのが基本ですが、所掌範囲は広範に及ぶので、軍隊になぞらえたときに、適当な職位が見あたりません。憲兵隊長的な役割が近いかもしれません。(あとで詳しく述べます)

以上のとおり、システムアナリストは、ITエンジニアの最高位(個人の能力のことではありません)に君臨し、顧客企業の経営戦略に基づいた情報戦略を立案します。もっと噛み砕いていえば、経営層トップと直談判して、顧客の経営戦略をITの側面から支援するものです。さらにプロジェクトマネージャの上司ですから、個別の複数プロジェクトを支援するという役割もあります。

システムアナリストになるには、単なる試験勉強だけではダメで、ITベンダまたは企業のIT部門での下積み経験と、経営に関する深い理解、そして各業界のトレンドを把握していなければ、合格はおぼつきません。このため受験者のほとんどは、キャリア20年以上のベテランで占められます。そしてどちらかというと経営学に力点を置いた文系の資格ですから、IT業界人以外でも合格の可能性があるということも特徴の一つでしょう。

システムアナリストは、業務独占資格ではありませんから、試験に合格しなければ情報戦略立案ができないというわけではありません。しかし大型システム開発案件には、システムアナリストを専任配置することが入札参加の要件になっていることが多く、ITベンダーにとっては、社内のシステムアナリストの有無によって、大型案件の元受が取れるかどうかが決まります。また合格者本人にとっても、下請専門の中小ベンダー社員から、大手ベンダー社員にステップアップするチャンスになります。

試験の合格率は7%前後と、極めて難易度が高いとされますが、勉強のコツさえつかめば合格は可能です。合格率の低さは、受験者の多くが現役管理職SEで、多忙を極めているため、勉強する時間がとれないのが原因のようです。社命で受験を命ぜられて、職務を調整の上、きちんとした指導の下で勉強した人ならば、合格率は格段に高くなるでしょう。

ところで、すでに報道されていますが、情報処理技術者試験は、2009年度を目処に大幅改訂されます。現在のシステムアナリスト試験は、ITストラテジスト試験(仮称)となるようです。直訳すれば「IT戦略家」ですから、求められるスキルは現行のシステムアナリストと大きく変わることはないようです。なので、受験を保留する必要はなく、今から勉強をはじめておけば、必ず自分の力量につながることでしょう。


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