(4)他の資格試験との親和性について(さらなるキャリアアッププラン)
システムアナリストに合格した人、あるいは合格できないまでもすでに合格に近い実力を備えた人であれば、次のような資格にもチャレンジできます。
文系出身者(特に大学の経済学部出身者)であれば、なんといっても中小企業診断士が向いています。試験内容は次の通りですが、システムアナリストに合格していれば、試験の一部が免除されます
経済学・経済政策
財務・会計
企業経営理論
運営管理(オペレーション・マネジメント)
経営法務
経営情報システム (システムアナリストはこの科目が免除されます)
中小企業経営・中小企業政策
中小企業診断士になれば、講演会講師、執筆などの依頼のほか、公的業務の従事、独立開業などの道が開けます。
システムアナリストとよく似た資格が、ITコーディネータです。ベースとなる知識はシステムアナリストとほぼ同等ですが、独自の視点や用語を用いるため、頭の切り替えが必要になります。 試験そのものは択一式のみであるため合格率は50%と非常に高いです。ITコーディネータの真骨頂は、15日間のケース研修にあり、受講費用は50万円ほどです。このため個人での受験は金銭的に厳しいですが不可能ではありません。会社が費用負担をしてくれるのであれば、ぜひとも取得しておきたい資格です。
システムアナリスト受験者/合格者の多くは、他の高度情報処理技術者試験も取得しているケースが多いです。中でも次の2つはねらい目といえましょう。
・プロジェクトマネージャ
システムアナリストの部下に相当する職位ですが、ITベンダーに勤務する人であれば、システムアナリストとして策定した情報戦略に基づき個別システム開発プロジェクトを、プロジェクトマネージャとして仕切ることができます。案件受注を念頭に入れた場合、業務の一貫性が期待できます。
・システム監査技術者
システムアナリストと並ぶ、高度情報処理技術者試験の最高峰です。本来、システムアナリストとは対極に位置する職務ですが、試験実施時期が春(システムアナリストは秋)であることもあって、毎年両方受けている受験者が少なくありません。ベースとなるIT知識は共通ですので、受けやすいということもあるのでしょう。 ただ、システム監査技術者試験は、 情報戦略の経営貢献度だけではなく、セキュリティ監査、コンプライアンス遵守の監査など広範に及び、システムアナリスト試験よりも「暗記すべき内容」が多いのが特徴です。首尾良く合格すれば、内部監査部門へのキャリアチェンジなどが期待できます。
以上、システムアナリストと親和性の高い資格を見てきましたが、闇雲に何でも取得すればよいというものではなく、自分の、あるいは会社が示すキャリアパスに基づき、自分が今後どういうキャリアを積んでいきたいのかを良く見極めた上で、目標を定めて勉強すべきでしょう。また、あまり多くはないと思いますが、学生さんが就職に有利な資格を得ようという目的であれば、いきなりシステムアナリストの受験は無謀です。
まず、自分の手の届く資格を取得することによって、就活の際に「自己啓発」をアピールするのが主目的になります。会社はその人が資格を持っているというだけで、即採用するほど甘くはありません。自己啓発と継続的学習を会社にアピールすることが、資格取得の重要な目的でもあります。